その続きは
2006年 11月 08日
隣人が部屋にやってきて、「この狭い部屋を広く改造したから見に来て!」と意気込んで言った。寮だというのに改造だなんて随分とアナーキーなことするじゃないのよ、まぁでも寮だし、改造といってもやり過ぎた部屋の片付け程度のものだろう、と思って隣人の部屋に赴くと、これが驚いた。私たちの住んでいる寮の元々の部屋というのは、だいたい全部合わせて10畳ほどの広さで、その中に居住スペースと小さなキッチンとユニットバスが組み込まれたものである。「広く改造した」という隣人の部屋は、その部屋の全ての壁がブチ抜かれ、キッチンもユニットバスもなく、ドアを開けたすぐそこから10畳ほどのフラットな空間があった。そしてその床の上には何故かゴザが敷き詰められいて、さらに驚く事に、そのゴザの上にあるべき家具などが一切なく、今し方出て行く準備を終えられた部屋のように、何もなかった。ただただ呆気に取られるしかなかった私は、ようやく、「どうしたの、これ?」と口にすることが出来た。隣人は得意げに、「いや、だってさ、前々から部屋が狭くて気に入らなかったから、広くしてみたんよ」と。「広くしてみた」と、広げることに挑戦している場合ではないだろう。ここは寮で、会社が月に○百万も出しフロア借りをしているうちの一つの部屋だ。元々はユニットバスやキッチンがあったであろうその場所は、水場であった面影もない。立ちつくす私に隣人は、「じゃ、私、これから出かけるから、この広い(←強調されていた)部屋好きに使っていいよ」と言って出て行った。好きにして、と言われても、何もないこの部屋で何をしろと言うのか。立っていた私は、ひとまず座ってみた。外ではしとしとと雨が降っていた。やはり、すべき事など何も思いつかないので、隣人の部屋を後にし、自分の部屋に戻った。ああそうだ窓を開けっ放しにしていたのだった、と思い出し、窓辺に立ってまた、驚いた。窓辺が水浸しだ。ふと外に目を遣ると、何故か豪雨になっていた。先ほど隣人の部屋から外を見た時には小雨だったのに、ものの数分で、窓辺が水浸しになるほどの豪雨。何だこれ?隣人は勝手に部屋改造してるし、どうなってんの?
と思って目が覚めたら、外はもの凄い風で、窓の外からも寮の廊下からも風の不気味な音が聞こえていた。ああさっきの隣人の改造部屋とか水浸しの窓辺は夢か、と気付いた。しかし、あまりにも夢とリンクしていて、「あ、この今の凄い風も夢かも。じゃ、まだ寝ていていいや」と、うっかり二度寝。何故夢だったらまだ寝ていても良い事になるのかわからないが、寝起きに理屈は通用しない。
ランチタイム、先輩から、今日の凄い風が木枯らし一号だと聞かされる。どうりで寒いはずだ。
今朝方、木枯らし一号とともに私の夢にやってきた隣人の念とは一体何だったのだろうか。そんなにこの狭い部屋が嫌なのか。私も嫌だけどさ、キッチンもユニットバスもブチ壊すほど嫌ではないよ、隣人よ。自転車入れたら狭すぎるけどさ、勝手に部屋の改造はしないよ、隣人よ。ああ、隣人よ。
by mizutama375
| 2006-11-08 00:48
| 雑記